Island 1985
西川のりおが歌ってるのかと思った、ダミ声の渋いアーティスト、トム・ウェイツ。
19曲収録にして54分弱。1曲平均3分切ってる…。
「酔いどれ」シンガーから「実験的」な創造性溢れるアーティストに180度転身した「ソード・フィッシュ・ボーン(83年)」に次ぐ85年作品。
それぞれが短くシンプルな曲ながらも極めて実験的なサウンドに仕上げられていて、いろんな要素が詰まっている珠玉の作品揃いです。
もちろんロック音楽として破綻することなく成立していて、トム・ウェイツのVo.も味わい深く、ちょっと他にはないいろんな魅力が詰まったアルバム。
過去のジャズテイストな作品群も好物ではあるが、それらとはまるで違った作風。
実験的というとシンセなどのエレクトリック的な楽曲を想像しがちですが、使っている楽器はみなアナログ。それぞれのパートがすごくシンプルで各楽器の音抜けが良く、聴いていても心地よいし、楽しい。トム・ウェイツのしゃがれた声にもぴったり。
最初これを聴いたとき、一瞬いつの時代のアルバムか分からなくなりました。
ジャンルや時代分けをするのがばかばかしくなる、流行からはまったく無縁の作品。
俳優業との二足のわらじを履くトム・ウェイツの作ったちょっとそこいらにはないいかした短編映画集を歌詞カード片手にしばし楽しんではいかがでしょうか。