Harvest 1984
このアルバムを制作するためにかなり多くの候補曲を制作、その中から厳選したというだけあって、すべての曲がいい。
アナログ盤のA面はノリのいいスピード感のある曲を、B面は聴かせる曲をという風にハッキリ分かれた構成になっています。
ギター仙人ウリ・ジョン・ロートから交代した若きリードギタリスト、マティアス・ヤブスが随所ではじけています。
こういう手数の多いギター演奏は大好きです。
Vo.のクラウス・マイネは相変わらずの美しいを声を聴かせてくれるし、マイケル・シェンカーのお兄さんであるルドルフ・シェンカーは相変わらずいい曲を書いてくれます。
そしてこのアルバムでは不朽の名作、9「Still Loving You」を届けてくれました。
マイナーコードのアルペジオで静かに始まり、囁くようなクラウス・マイネの声が入った瞬間はたまらない。徐々に盛り上がり、「Still Loving You」と歌う最後のリフレインへ、鳥肌モノのバラードです。
この曲も含めて、スコーピオンズの曲に共通しているのが日本人の感情に馴染みやすいマイナーな曲調が多い点。そしてクラウス・マイネの声が日本人の耳によく合う。「Tokyo Tapes」というライブアルバムで聴ける「荒城の月」のVo.を聴いてそう思いました。
そんな美しい声と楽曲で埋め尽くされた本アルバムは思惑通りアメリカでも好セールスを記録。
2「Rock You Like A Hurricane」に象徴されるようにメロディアスでキャッチーだけどハードロックであることをしっかりと意識した重厚な作り、音作りを怠りません。
8「Crossfire」のような異色な名曲もあり、バラエティに富んだすばらしいアルバムだと思います。