Arista 1985
天は二物を与えず、どころか三物も四物も与えてしまったのがこの人。
歌良し、ルックス良し、血筋良し、人気も実力もある、欠点を探すのが大変なくらいの大成功者。
母親はゴスペルベースの実力派ヴォーカリスト「シシィ・ヒューストン」にして叔母にかの有名な「ディオンヌ・ワーウィック」を持つ。
11歳のときからゴスペル聖歌隊に所属して教会で歌い、実力に磨きをかけ、母親のステージを手伝ううちにモデルとしてスカウトされ、一躍トップモデルに。
黒人女性として初めて表紙を飾ったという「セブンティーン」を始め、「グラマー」「コスモポリタン」など、若干20歳を前にして有名誌のグラビアを飾るトップスターモデルとなっていました。
ところがこのままトップモデルとしてのキャリアをスタートさせるかと思いきや、やはり幼い頃からのお家芸であるシンガーの道を歩み始めます。
これに目をつけないわけにはいかないとばかりに大手「アリスタ・レコード」がこの新人を強力にバックアップ。
そしてできた名盤がこのアルバム。
1985年発表で全米アルバム・チャート1位を獲得。シングル・カットした「すべてをあなたに」「グレイテイスト・ラヴ・オブ・オール」「恋は手さぐり」も全米No.1を獲得し、アルバムセールス全米2,300万枚を記録したモンスターアルバム。
新人をサポートするためか話題作りのためか、大御所「テディ・ペンダーグラス」と「ジャーメイン・ジャクソン」の2人が3曲でデュエットしていますが、なかなかどうして、ホイットニーはベテラン相手に堂々と歌い上げています。
本当に21歳そこそこの新人のデビューアルバムなのでしょうか!?
このアルバムのジャケット、どうだと言わんばかりのナイスバディ&ものすごいベタなデザインだけど、実はコレ日本盤のみの仕様。アメリカやヨーロッパでは違うデザインで、ちゃんと服着てます。(左サイド下のジャケ写)
なんでも当時のプロデューサーがこのデザイン見て「ちょっと過激じゃね?」とかなんとか言ってダメ出しして変更させたとか。
僕はこのベタすぎるジャケットじゃないとダメですけど…
他にも日本盤では不思議なところがあって、曲順が大幅に変更されています。
当時のアナログLPレコードでいうA面とB面がそっくり入れ替わっていてオリジナル盤と日本盤では1〜5曲目と6〜10曲目がそっくり入れ替わって収録されています!
なんでこんなことした、日本盤??
ということで、オリジナル盤に忠実に聴くには6曲目から聴きましょう(笑)
このアルバムは捨て曲が1曲もなく、ホイットニーの歌唱力がいかんなく発揮された名盤。真骨頂のバラード曲の2、4、9やベテランとの堂々としたデュエットの3、5、10、陽気なポップチューンの1など、1枚でいくつものホイットニーの魅力が味わえるアルバム。
「ボディガード」の頃のホイットニーは大味な感じがするけど、このアルバムは肉体的にも精神的にもフレッシュで充実したホイットニーのエネルギーがキラキラとほとばしっているようで、聴いていて元気がでます。
ぜひこの日本盤仕様のジャケットを眺めながら聴いてください。
なお、このアルバム、紙ジャケット仕様がリイシューされているが、リマスタリングされていない模様。
所有してるのが85年の日本フォノグラム盤で音圧が低い(これはこれでいいんだけど)ので、リマスタリングしたのも聴いてみたいところ。
正規のジャケット