MCA Records 1986
大ヒット曲「ザ・リドル」から1年半後にリリースされた3rdアルバム。
架空のラジオ局という設定のこのアルバムは抜けの良い音で一気に最後まで聴かせるアルバムになっています。
甘いマスクに小柄な体格で唯一無二の曲を世に送り出すニック・カーショウ。
その独特の曲調とシリアスな歌詞は今作でもさらにグレードアップし、アイドルから完全に一人のアーティストに成長してしまいました。
ニック・カーショウの特徴である転調を多用した独特なメロディー・ラインは1曲目「ラジオ・ミュジコーラ」や5曲目「ライフ・ゴーズ・オン」、7曲目「ジェイムズ・キャグニー」なんかに妙実に出ているけど、今回のこのアルバムではさらに磨きがかかり、かつ洗練された音作りがなされています。
特にリズムがタイトでバラエティにあふれています。
ただ、それぞれの曲自体はキャッチーではないので人によってはとっつきにくいかもしれません。
僕はこのミュージシャンは非常に玄人受けするアーティストだと思います。
この人の曲は万人受けするような分かりやすさはないけど、一度ハマったら抜けられないような魅力があり、特にこのアルバムはそれが強い気がします。
そのためかデビューアルバムや「ザ・リドル」以降は売り上げにはいまいち恵まれていません。
どうも本人の見た目アイドルのような甘いマスクと生み出される曲のギャップが大きすぎたのでしょうか。
今ならもっとまっとうな評価があってもいいと思います。特にこのアルバムに関してはそうあるべきだと思います。
このアルバムの一番のお気に入り&おすすめは7曲目「ジェイムズ・キャグニー」。美しくもニック・カーショウらしいとしか言いようないメロディ。これが実にハマってしまいます。「ザ・リドル」のイメージに近いでしょうか。
そして最後の「ヴァイオレット・トゥ・ブルー 」。
ドラッグをやって窒息死する少女の実話を元にしたシリアスな内容で、紫から青色になって死んでゆく様を表現しているのだけれど、荘厳なイメージで最後を飾るにふさわしい曲になっています。
ちなみに9の「ホエン・ア・ハート・ビーツ」はCDのみの収録。
shore-capeさんのコメント
初めまして。「ラジオ・ミュジコーラ」で検索して来させていただきました。このアルバム、すべてにおいてレベルが高くて素晴らしいですよね。
ええ、ホイットニー・ヒューストンの1枚目同様、捨て曲が1曲もないですよね。
私もいちばん好きな曲は「ジェイムズ・キャグニー」です。壮麗かつ親しみやすいメロディーで完全にはまってしまいます。意見が同じ人が見つかってうれしいです。これからもよろしくお願いします。
shore-cape 2012年12月20日 17:08