ワーナーミュージック・ジャパン 1986
中学生の頃、チャリンコで2〜3時間走り、何気に入った中古レコード屋で衝動買いした中古のミュージックテープ。
それがこの「不思議」でした。
なんでコレだったのか?どうしてコレを選んだのかはいまだに分かりません。
当時よく聴いていたのは洋楽で、中森明菜はもちろん知っていたものの、特に好きというわけでもなく、当然僕のカセットテープやLPのライブラリにはひとつも入っていませんでした。
自転車だったからでしょう、レコードではなく中古のミュージックテープを購入。カゴに入れ、急いで家に戻って聴いてみました。
新鮮でした。
カッコイイ曲とともに遠くで中森明菜の声が聞こえたり聞こえなかったり…。
当時の僕のラジカセでは正直何を歌っているのかよく分かりませんでした。
妖艶で東洋的な美しいジャケットワークとともに、歌詞カードに大きく書かれた中国語。
深い残響の中で美しい楽曲と中森明菜の声が入り交じりカオスとなって…
ただただこのアルバムの世界に引き込まれていった記憶が残っています。
あれからかなりの年月が経ち、今、復刻紙ジャケット仕様のデジタルリマスターを聴いています。
24bitリマスタリングにより、さらに鮮明になったその音と作品の魅力は、25年たった今でもまったく色あせることがなく蘇ってきます。
野太いベース、リバーブを十分に効かせ、地の底で鳴っているかのようなヴォーカル。
どこかエキゾチックなメロディとリズム…
彼女の特徴的なビブラートももはや音響空間を形作る要素のひとつとなり…
今聴くと、かなりアンビエント。
そう、今僕はJPOPではなくアンビエントミュージックとしてコレを聴いています。
アルバムのクレジット見てたら、プロデュースが中森明菜になってたんだけど、これってスゴくない?
彼女の才能、感覚は1986年では新しすぎたし、早すぎました。
彼女のディスコグラフィの中では問題作として完全に浮いてるけど、もっと評価されていいアルバムだと思います。
ちなみにこのアルバムリリースの2年後、本作を聞きやすくリミックスしたミニアルバム「Wonder」(英語にしただけ?)が出ています。
このアルバムからの5曲と、吉田美奈子作詞・作曲の新曲「不思議」を加えた全6曲で構成。
コレはコレでまたなかなか…
中森明菜「wonder」1988
STAR PILOTさんのコメント
中森明菜のアルバムの中で初めて買った作品は「不思議」でした。まだ幼かった自分は、圧倒されました。ヴォーカルが聴こえない!でも、それはアルバムの色を出すのにいろいろと明菜さんは考えてプロデュースしたのですね。
今、聴いても本当に色褪せない。彼女がアイドルからアーティスドへと飛び立つ、スタートラインだったのではないかと思います。確かに「DESIRE」の大ヒットを飛ばした同じ年にこのアルバムが。まさに「凄い」のひとこと。
STAR PILOT 2012年12月19日 17:31